前回の記事「How to相続登記 ~戸籍の収集編~」に続き、相続登記をご自身でやってみようという方への内容です。
前回の記事でも説明させていただいたように、相続登記で重要になるのは、「誰に」「何を」「どのように」わけるかという点です。
- 「誰に」→ 法定相続人の中の誰が財産を相続するのか。
- 「何を」→ 相続する財産は不動産、預貯金など、どんなものなのか。
- 「どのように」→ 全ての財産なのか、割合で分けるのか、物で分けるのか。
「誰に」分けるかといったことを判断するためには、まずは「法定相続人」を確定させる必要があります。
法定相続人を確定させるために行う作業が、戸籍の収集作業になり、前回記事では戸籍の収集方法をご説明しました。
今回は、相続登記申請に必要になる遺産分割協議書の作成方法をご説明いたします。
対象不動産を相続人の内の「誰が」「何を」「どのように」取得するのかを相続人全員で協議し、その内容を遺産分割協議書として書面に残します。
そしてその遺産分割協議書には相続人全員が署名し、全員が実印を押印する必要があります。
ご自身で相続登記を行う場合には、この遺産分割協議書もご自身で作成する必要がございます。
遺産分割協議書はワープロで作成しても良いですし、全て手書き作成しても大丈夫です。
それでは実際の遺産分割協議書例を下記のケースで見ていきましょう。
【相続不動産】
京都市の自宅 土地・建物(父親名義)
【相続人】
被相続人 ひかり太郎 父親 令和2年死亡
相続人 ひかり花子 妻
相続人 ひかり一郎 長男
相続人 こだま一美 長女
【遺産分割協議の内容】
・「誰に」→ひかり花子に
・「何を」→自宅の土地建物を
・「どのように」→全て
遺産分割協議書(例)
被相続人ひかり太郎の共同相続人である私達は、次の相続について、下記のとおり遺産分割の協議をした。
被相続人の最後の本籍 京都市○○町〇〇番地
最後の住所 京都市○○町〇〇番地
氏名 ひかり太郎
相続開始の日 令和2年〇月〇日
記
1.相続財産中、次の不動産については、ひかり花子が相続する。
所 在 京都市○○町
地 番 〇〇番
地 目 宅地
地 積 〇〇㎡
所 在 京都市○○町〇〇番地
家屋番号 〇〇番
種類 居宅
構 造 木造2階建て
床面積 〇〇㎡
以上の協議を証するため、この協議書を作成し、各自署名押印するものとする。
令和 年 月 日
【ひかり花子様】
住 所 京都市○○町〇〇番地
氏 名 ひかり花子 実印
【ひかり一郎様】
住 所 大阪市中央区〇〇町〇番〇号
氏 名 ひかり一郎 実印
【こだま一美様】
住 所 東京都千代田区〇〇町〇番〇号
氏 名 こだま一美 実印
遺産分割協議書作成の注意点としては、下記があります。
1.相続人全員で
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、一人でも欠けるとダメです。
相続人に未成年者がいる場合には、家庭裁判所で特別代理人を選任してもらう必要がある場合もあります。
2.正しい記載で
特に不動産の表示については、法務局で登記簿を取得して正しい正確な記載をする必要があります。登記簿記載の通りに記入しましょう。
その他の部分も、誤字脱字等が無いように、押印前にチェックしましょう。
3.実印の押印
相続人全員が実印で押印し、印鑑証明書も法務局へ提出する必要があります。
相続登記に必要な印鑑証明書には、何カ月以内といった期限はありません。
実印の押印はかけないように、鮮明に押印しましょう。
また、ページが複数にまたがる場合には継目に割印も必要になります。
遺産分割協議書の記載に間違い等があると、相続人全員に再度実印をもらい直したりする必要がでてくる場合もあるので、作成には特に注意が必要な書類になります。