不動産の名義変更をすると税金がかかる?
不動産の名義変更とは、売買、贈与、相続など何らかの事由で不動産の所有権を移転させることをいいます。
所有権を移転させるということは、新たな所有者は移転された不動産の分だけ財産が増えたことになります。
つまり、不動産を譲り受けた方が得をした場合には、その得した部分に税金が課税されます。
課税される税金とは?
1、登録免許税
登録免許税とは、新たに不動産の所有者となった方の名義を登録する際にかかる税金であり、不動産の名義を変更した際には必ずかかってくるものです。
売買→ | 不動産価額の15/1000(土地)、20/1000(建物) |
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相続→ | 不動産価額の4/1000 |
贈与→ | 不動産価額の20/1000 |
以上の割合で登録免許税がかかってきます。
仮に1000万円の土地の場合ですと、売買→15万円・相続→4万円・贈与→20万円となります。
2、不動産取得税
不動産取得税は、不動産の移転の事実に着目して課税されます。
そのため、不動産を取得した方は基本的に不動産取得税の支払いが必要です。例えば、土地を購入した場合の不動産取得税は、原則として取得した不動産の固定資産税評価額に3/100の税率をかけた金額となります。
3、相続税
父親がなくなり、遺産の中に不動産があった場合には、その父親が所有していた不動産の名義変更をする必要があります。
この際に父親の全ての財産総額が相続税の基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えている場合には、相続税の申告の必要があります。
仮に父親の財産総額が基礎控除額を下回っていれば、相続税を支払う必要はなく、相続税の申告も不要です。
ただし、不動産を相続することによって名義変更をする場合には、登録免許税の支払いが必要です。なお、相続により不動産を取得した場合には不動産取得税は課税されません。
4、贈与税
生前に父親から子供に不動産の名義を変更するといった場合で、子供が不動産の所有者である父親に全く対価を支払わない場合には、子供はタダで不動産を取得したことになります。
その場合には、父親から子供へ不動産を贈与したことになるため、受贈者である子供は不動産の価格に見合った贈与税の税率に相当する贈与税を支払う必要があります。なお、贈与税算定の際の不動産の評価は基本的には土地については路線価を使用し、建物については固定資産税評価額で評価します。
5、所得税
相続不動産を売却する際に対象となる不動産が購入時より値上がりしていた場合には、譲渡所得が生じます。対象不動産の売却先としては、親族であっても申告が必要です。
確定申告の時期は?
1、相続税の申告期限
「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」に行うことになっています。
例えば、1月6日に死亡した場合にはその年の11月6日が申告期限になります。なお、この期限が土曜日、日曜日、祝日などにあたるときは、これらの日の翌日が期限となります。
2、期限を過ぎてしまったら
相続人が遠方にいる場合などで、申告書の作成や押印が間に合わなかったため期限内に申告できなかったときは、相続税とは別に無申告課税や延滞税がかかってしまうので注意が必要です。
また、相続税がかかることを知りながら故意に申告書を提出しない場合や、財産を隠蔽するような悪質なケースでは、重加算税という更に重いペナルティが課されます。
3、相続税の申告書の提出先
相続税の申告は、相続や遺贈によって財産を取得した人が行いますが、相続人が複数いる場合でも、人数分の申告書を作成してそれぞれが提出する必要はありません。1通の申告書に全員が署名・捺印して、それを被相続人が死亡した時の住所地を管轄する税務署に提出します。この時の注意点は、相続人の住所地を管轄とする税務署ではないことです。
4、贈与税・所得税の申告期限
贈与税と取得税については、1月1日から12月31日までの1年分に行われた贈与や売買により発生した所得については、翌年の2月から3月の確定申告の時期に申告をする必要があります。
昨年2018年にあった贈与や売買によって得た所得に関する申告であればそれぞれ以下の通りとなっています。
贈与税 | 2019年2月1日(金)~3月15日(金) |
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所得税 | 2019年2月18日(月)~3月15日(金) |
5、贈与税・所得税の申告書の提出先
これらは、相続税の申告と異なり、贈与であれば、贈与を受けた者の住所地を管轄する税務署となり、所得税は所得を得た者の住所地を管轄する税務署となります。
不動産の名義変更はいつまでにしなければならないという期限はありません。しかし、それに伴う税金関係の申告手続きがある場合には申告の期限がございますので、まずはご自身の場合は名義を変えることによって税金の課税があるのかないのか、それを把握されることが重要だと思います。この記事がお客様の名義変更、確定申告の参考になれば幸いです。