③家族でのお話合い
家族信託を実現するためには、本人だけでなく家族の協力や情報共有が不可欠です。事前に行って頂く話し合いで、何を念頭におきながら話したらよいのかを下記にまとめました。全てではありませんが、下記の事項が固まれば家族信託の核となる部分はできあがります。
1.信託目的の趣旨、信託目的の対象者・対象財産は何か
- ・委託者(財産を託す人)の目的は、生前の本人のためか、特定の家族の生涯のためか、それともいずれもか
- ・家業、事業の承継か、後継者は決まっているか
- ・財産は何か、特定できる問題のない財産か
2.生前の受益者、その給付内容・程度その他の制約
- ・今からの受益者は誰か
- ・生活、療養看護のためか、その他の要素も含めるか、給付内容、範囲、規模は
3.委託者死亡後の受益者、その給付内容、その他の制約等
- ・委託者死亡後の受益者は誰か
- ・生活、療養看護のためか、施設入所、その他の要素もふくめるか、給付内容、範囲、規模は、いつ取得させるか
- ・税負担の程度、その資金源は
4.遺したい財産があるか、残ればどうするか
- ・どこに、誰に、何を渡したいか
- ・託終了時の残余財産の帰属先は誰か
5.受託者(託される人)を誰にするか、費用負担はどの程度か
- ・最も信頼できる者、理解者は誰か、その関係は
- ・専門家の支援か、監督が必要か
上記の点を意識してお話して頂いて、家族信託で何を実現されたいか、また本当に実現可能なのかを検討していく必要があります。
④必要書類の準備、収集
下記の資料が公正証書による契約書作成までに必要なものとなります。
- ・本人確認資料
運転免許証、パスポート、マイナンバーなど委託者、受託者の方のもの
- ・印鑑証明書
委託者(受益者)と受託者のもので、発行されて3ヶ月以内のもの。
- ・ご実印
- ・戸籍謄本
家族関係を証明するために必要となります。
- ・住民票
委託者、受託者だけでなく、当事者の方(受益者や信託監督人など)のもの全て。
- ・信託財産に関する資料
不動産(土地や建物)を信託財産とする場合は、登記事項証明書(俗にいう登記簿)と固定資産税の評価証明書や課税明細書が必要です。
契約書作成後、不動産の信託登記の際に必要となる書類
- ・権利証(登記済証、登記識別情報通知)
- ・委託者の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- ・受託者の住民票
- ・委託者の実印
- ・受託者の認印
- ・委託者、受託者の本人確認書類(運転免許証等)
第3回では、家族のお話合いで何を注意して進めるか、その後に何を準備しておく必要があるのかについて詳しくお話させて頂きました。次回の第4回では⑤信託契約書の作成、⑥金融機関、公証役場との打ち合わせの2つについて掘り下げていきます。