相続が発生した時に、不動産の名義変更や預貯金の解約、株式の名義変更など、あらゆる相続の手続きには、遺言書がある場合や、相続人が一人だけの場合を除き、遺産分割協議書を作成して、遺産をどのように分配するのかを決める必要があります。
ネットで調べれば、遺産分割協議書のひな型や書き方、作成方法などのブログ記事がたくさん出てきますので、ご自身で作ってみようという方も多いのではないでしょうか。そんな遺産分割協議書を作成するときのポイントについてお話します。
遺産分割協議書の作成とは?
相続が発生し、必要な戸籍を取得できたら、法定相続人が確定することになります。
もし、戸籍に、相続人が誰も知らなかった被相続人の隠し子がいた場合、その隠し子も相続人となります。隠し子とは曖昧な言葉ですが、例えば、婚姻する前に、養子縁組をしていた。実は結構する前に、一度結婚していて、その時に子供がいたなどの情報はすべて戸籍に記載されています。
そういった養子や子供がいた場合、その者も相続人となり、その者が参加していない遺産分割協議は無効であり、何の効力も発生しないことになるのです。逆に戸籍に記載されていなければ、子供はいないということになりますので、戸籍をすべて集めることによって相続を受ける権利がある人(法定相続人)が確定します。
法定相続人が確定したら次は、遺産分割協議をすることになります。遺産分割協議とは、被相続人の財産をだれが引き継ぐのかを、法定相続人全員で決めることです。
被相続人の財産とは、不動産、預貯金、株式、宝石、車やバイク、タンス預金、債務などの一切の財産のことを指します。これらの財産は遺産分割協議をするまでは相続人が共有しているものとされ、遺産分割協議をすることによって確定的に当該相続人の持ち物となります。
話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所へ遺産分割調停の手続きを申し立てたりすることになりますが、その場合の手続きについては、今回は割愛致します。
話し合いがまとまったら、各種手続きのために遺産分割協議書を作成することになります。
遺産分割協議書とは遺産分割協議の内容を書面におこしたもので、万一、内容について争いが起こった場合の証拠書面のようなものになります。ですので、遺産分割協議書を作る際は、第三者がみても、どの財産をだれが相続したのかが確実にわかるように作成する必要があります。
あとは、不動産なら法務局へ名義変更の手続き、預貯金なら金融機関への手続き、株式なら証券会社、車なら陸運局と、当該担当機関が、問題なく手続きをしてくれるように記載しておく必要があります。上述のように、客観的にだれがみても財産の相続する人がわかる場合、多少、体裁が異なっても対応してもらえます。
また、代償分割(財産を取得する代わりにお金を払う)や換価分割(財産を売却してそのお金を分ける)など、特殊な分割方法もあります。
遺産分割協議書ができれば、相続人全員に内容を確認し、相続人全員が実印にて署名押印し、印鑑証明書を添付することで完成です。これを、集めた戸籍一式と一緒に担当機関に提出することによって、実際に遺産分割の手続きをすることができます。
一番大事なポイントは、相続人全員が納得した内容での協議を成立させることです。
これがすべてといっても過言ではないです。
長男がすべて相続し、他の相続人は放棄するといった内容でもいいし、法定相続分通り、平等に分配でもいいし、内容は自由に決めればいいのですが、相続人全員が納得して、遺産分割協議書の作成に協力してくれる内容にするというのが一番大事です。それさえできれば、あとは内容を書面に起こすだけです。
とはいうものの、作成したこともないものを作成するのはなかなか難しいものです。
よって協議書を作成する際のポイントは誰がみてもわかりやすいような内容で作成するということです。何のために遺産分割協議書を作成するかというと、ひとつは言った言わないで後々、争いにならないようにきっちり書面に残しておくということ、もうひとつは、銀行や法務局などの相続手続きをするためにつくるということ。の2点につきます。
よって万一争いになった時に、客観的に誰がみても、どの相続財産は誰が相続したのかがわかるようにしておく必要があります。
例えば、不動産でしたら、登記事項証明書に記載されている通りの所在、地番、地積などを記載する必要がありますし、預貯金であれば、〇〇銀行××支店の普通口座口座番号△△△のように、しっかり相続財産が特定されている必要があります。
大事なことは遺産分割協議を成立させるということです。成立しなければ、裁判所で調停や審判など、争族となってしまい、かなりの時間や労力、コストを使ってしまいます。そうならないよう、相続人様全員でしっかり話し合いましょう。
以上のポイントを意識して作成すれば、遺産分割協議書作成はそこまで難しい手続きではありませんが、慣れないことなので、色々と戸惑ってしまうことも多いかと思います。そんな時はぜひ、ひかり相続手続きサポーターにご相談ください。