生前贈与か相続かどっちが得?

親御様名義の不動産を、親御様がご健在の間に、名義変更するのがいいか、それとも親御様が亡くなってから相続によって名義変更するのがいいか、よくお問合せを頂きます。

答えを申し上げますとケースバイケースです。

弊社で、こういったお問合せを頂いた場合、基本的に以下の3つの選択肢があるとお伝え致します。

  1. 生前贈与による名義変更
  2. 相続発生するのを待ち、相続発生後に、遺産分割協議を行って名義変更
  3. 遺言書作成し、亡くなった後に遺言書を使って名義変更

これ以外に、それぞれのお客様の悩み事や、財産などを考慮して別の方法になることもありますが、この①②③の方法が、最初に検討すべき方法となります。

以下にそれぞれのメリットとデメリットを挙げます。

①生前贈与による名義変更

生前贈与による名義変更の一番大きなメリットは、今すぐにできて、生きてる間に名義が変わることです。

終活という言葉が、一般に認知され始めた昨今において、今の70代、80代の方はご自身の財産をどのように相続人に遺していくか、自分が亡くなった後、相続に際に揉めないかということをとてもよく考えておられます。そういった時に例えば、持ち家を生前のうちに、長男へ生前贈与しておけば、少なくとも不動産の権利の帰属について揉めることはなくなります。預貯金などの金銭に比べ、不動産は分けることが難しいためです。

そういう意味で、親御様の心情的に、自分が生きている間に手続きができる生前贈与は、亡くなった後の相続争いの心配を減らせるので、とてもメリットがあるのではないでしょうか。

ただし、税金が高くなるというデメリットもあります。贈与税は基礎控除の額も低く、税率も高いので、不動産のような効果な財産を単純に贈与するとかなりの額の贈与税がかかってしまいます。

また、贈与税以外にも、相続であればかかりませんが、不動産取得税という税金がかかることがあります。さらに、名義変更の際に法務局に納める、登録免許税という税金の税率は贈与を原因とする場合は固定資産税評価額の2%なのに対し、相続を原因とする場合には、0.4%と5倍の差があります。

このように、生前贈与の場合の名義変更は、かかる税金が高くなりがちです

②相続発生するのを待ち、相続発生後に、遺産分割協議を行って名義変更

遺産分割協議を行って名義変更の一番のメリットは、税金が安いということです。

贈与税に対して相続税は基礎控除が高いので、多くの方は相続税がかかりません。(相続税がかかるほど資産をお持ちの方は10%に満たないといわれています)よって、生前贈与に比べて、かかるコストが少ないということが最大のメリットでしょう。

デメリットとしては、生前贈与のメリットの逆で、生前贈与と異なり、相続は、ご自身の亡くなった後の話になりますので、自分が思ってたような分割で遺産分割協議がまとまらず、相続人の間で揉めてしまうのではないかという心配をずっと残してしまうことになります。

また、相続人間で揉めてしまうと、せっかく不動産があったとしても、争いの末、売却してしまう可能性もあります。

ただし、争いさえなければ、一番コストのかからない方法といえるでしょう。

③遺言書作成し、亡くなった後に遺言書を使って名義変更

遺言書を作成して名義変更は、生前贈与と相続の間のような方法です

公正証書遺言などを作成しておき、いざ相続が発生したら、その遺言書の内容で遺産を分配することになります。

生前贈与のように、生前の間に名義変更をできるわけではありませんが、例え、相続人間で揉めていたとしても名義変更することが可能となります。

また、個人的な感覚ですが、親御様が思いを持って、遺産分割の方法を定めたのであれば、あまり揉めずに従うケースがほとんどだと思います。

メリットとしては、税金は相続と同じように考えるので、一般的に贈与よりも安くできる。自分が思っている内容で遺産を分割することができるということでしょう。

デメリットとしては、遺言書を作るなら公正証書で作成することをお勧め致しますが、こちらには公証人手数料がかかるということです。財産の価格や遺言の内容によって金額は異なりますが、10万近くはかかることが多いです。

 

いかがでしょうか。

それぞれの方法のメリットデメリットをご理解いただけたでしょうか。
上記以外にも例えば、家族信託を利用した契約を絡めたり、任意後見人制度を利用したり、それぞれの悩みにあった様々な方法があります。

生前贈与か相続かの二択で悩んでらっしゃる方がいらっしゃいましたら、ぜひ遺言書の作成やその他の手続きの検討をしてみませんか。

 

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