今回は遺産分割協議の進め方の中で、遺産に不動産があった場合についての解説を致します。
一般的な遺産分割協議の進め方としては、「①遺産の把握」、「②分配についての協議」、「③書面での遺産分割協議書の作成及び署名押印」、「④各種相続手続き」となります。
最初の遺産の把握の中で不動産があることは把握しているが、不動産の価格まで把握している方はそこまで多くないはないでしょう。
法定相続分に従って平等に相続しようと考える方はたくさんいらっしゃいますが、遺産に不動産があった場合、不動産の価値(価格)をどのように設定すればいいかでお悩みの方は多いのではないでしょうか。
結論を先に申し上げると、価格の設定は、相続人全員が納得すれば、どんな設定でも問題ありません。ただ、相続人全員が納得する価格設定というのがなかなか難しいところです。
土地や不動産の価格を示す指標というのは、いくつかあります。
- 公示価格
- 固定資産税評価額
- 路線価格
- 実勢価格(市場価格)
詳細な説明は省きますが、上記はそれぞれ同じ不動産であっても金額は異なります。
では、どの価格にあわせればいいのかといいますと、特に決まっているわけではありませんが、最終的に裁判所まで争いになった際には、実際に売れた時の価格というのが基準とされますので、不動産業者の査定書などを添付資料として分割方法を決定することが多いです。
では実際に売れた時の価格で設定して遺産分割を進めればという話になりますが、実際に売るわけではないので、結局どうやって決めていくかということになります。
もし不動産業の関連の方にお知り合いがいらっしゃるのであれば、査定書を書いてもらうのも一つの方法だと思います。ただ、不動産業者が作成する査定書は、あくまで売りに出すならこの価格ということで高めに売り出したり低めに売り出したりと、かなり匙加減な部分が多いので、心配であれば数社から査定書を取った方がいいかもしれません。
知り合いに不動産業者がいらっしゃらないのであれば、ネット等で近隣の土地が販売されていないかを検索し、坪単価がいくらになっているのかというのも参考資料の一つとなります。
あとは、一般的にですが、固定資産税評価額は実際に売れる価格の6割程度と言われています。固定資産税評価額は固定資産税納税通知書の課税明細書に記載されていますので、その金額を0.6で割れば、割り戻しできます。これが一番簡単な方法ですが、一般的に6割なので、実際には、解離がある場合も多々あります。
結論としては、これらの情報を資料として相続人様全員が確認しながら、皆様が納得する価格を設定することになります。
当然、不動産をもらってお金を変わりに払う分割だと、不動産をもらう側は、価値が低い方がいいですし、お金ももらう側は価値が高い方がいいので、交渉ということになります。
なによりも揉めないことが大事ですので、どこかで折り合いをつけることも必要になってきます。調停審判までいけば解決まで数年かかることもあります。
以上、遺産分割協議の進め方について記載しましたが、ご相談等ございましたらお気軽にひかり司法書士法人へお問合せください。