今回は、筆界特定制度についてお話させて頂きたいと思います。
筆界特定制度とは、『隣接する土地の所有者間で筆界に争いが生じ、民間で解決できないケースに筆界特定登記官が土地所有者等の申請により筆界線を特定する制度』です。つまり、専門的知識を有する筆界調査委員の調査結果、意見を踏まえ、又、申請人、関係人の弁明、提出された資料等により総合的に判断し特定する制度となります。
筆界特定がなされると
- 登記記録の筆界特定欄に筆界特定年月日番号が記録されます。
- 管轄登記所より筆界特定書の写しの交付を受けることができます。
- 管轄登記所より筆界特定図の写しの交付を受けることができます。
その効果として
筆界特定には筆界特定登記官が筆界の現地における位置についての判断を示すものであり形成的効力は無ありません。最終的に筆界を法的に確定する必要があるときは、筆界確定訴訟によることになります。しかしながら事実上、その後の登記手続や裁判手続において、その結果が尊重されることがほとんどです。
手続費用
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- 登録免許税:固定資産評価額により算出。(A土地とB土地の筆界を特定する場合A土地とB土地の合算)評価額合計が1億円の場合→14,400円
- 別途測量を要する場合、測量費用の負担が生じますが、すでに申請者のほうで測量業者の測量成果を持っているケースがほとんどで、その提供により略追加負担は生じません。
メリット:
- 費用について、筆界確定訴訟、調停等に比べ相当程度リーズナブル。
- 登記記録に記録され公の閲覧に供されるので第三者に対抗できます。
- 煩わしい関係者への連絡等すべて法務局行うので、申請人の精神的負担が軽減されます。
デメリット:
- 申請から特定されるまで約9ヶ月~1年半程度かかります。
- 筆界特定後、同筆界について筆界確定訴訟により異なる筆界が示された場合、筆界特定は効力を失います。
まとめ
法務局の筆界特定制度がスタートして10年以上たちますが、申請件数は年々増加の一途をたどっています。
その反面、従来からある裁判での境界確定訴訟の件数は半減しています。これは筆界特定制度の主旨が国民のニーズに合致し機能している証しです。事案にもよりますが、まずは筆界特定制度を利用することをお勧めします。