こんにちは司法書士の安田です。
ご存じの方も多いと思いますが、不動産の相続登記は相続開始後、何ヶ月以内にしなければならないなどの期限はありません。では相続登記をしないままずっと放置しておくとどうなるのでしょうか。
それも10年20年ではなく100年以上放置しておいた場合はどうでしょう。
現在の法律では、亡くなった方の名義のまま、所有権を移転することは出来ません。
必ず、相続人などへ名義変更をしてから所有権移転登記をすることになります。例えば地域の再開発などで県や市が収用する場合であっても相続登記をしていなければ、所有権移転をすることは出来ないのです。
ですので、司法書士や役所は相続登記を早めに済ますことをお勧めするのですが、私の経験上、10年20年くらい放置されていることは特に珍しくありません。
それくらいでしたら、多少の相続人の変更があっても、そこまでややこしくはありません。ただ100年くらい放置されているという案件はさすがに多くないです。これくらい放置されていると相談者と登記名義人の関係が何世代も離れていることになるので、登記名義人自体を知らないことの方が多くなります。この場合でも、基本的には戸籍を集めて法定の相続人を確定してという形ですすめていくのですが、大きな問題があります。それは戸籍には保存期間があるということです。保存期間が満了すると役所はどんどん戸籍を廃棄していきますので、登記名義人との親族関係を証明出来なくなる場合があります。そうすると登記名義人の相続人が誰だかわからなくなってしまうので、相続登記のやりようがなくなってしまいます。全くわからないというケースでは取得できる戸籍の量や管轄法務局の意向などによって手続きが変わってくるとは思いますが、法務局はあくまで戸籍に基づいて相続関係を確認していく役所なので、戸籍がなければ登記を受け付ける事が難しくなります。ではどうするのかというと、法務局ではなく裁判所で戸籍以外の色々な疎明資料を提出して所有権確認の訴えなどを起こして、所有者や相続人を確定していくことになると思います。
裁判になるので、司法書士ではなく弁護士さんの専門分野になりますので、さらに費用と時間、手間がかかります。
こういうケースは本当に稀だと思いますが、現実に起こっている問題です。
こんなことにならないためにも相続が発生したらとりあえずひかり司法書士法人に相談しましょう。速やかに相続登記をさせて頂きます。