今回は、みなさんが建物を新しく建築したときに必要な「建物表題登記」について書いてみたいと思います。
不動産登記規則上、『建物とは、屋根及び周壁、またはこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものをいう』と定義されています。
これは、不動産登記上、建物と認定する為には、
- 屋根及び周壁によって、外気と分断されていること(外気分断性)
- コンクリート基礎等によって、地盤にしっかりと定着されている事(定着性、構築性)
- その建物を使用するにあたり、目的を達成できること(用途性、取引性)
の3つの要件を満たす必要があります。
これだけを言われても分かりにくいとおもいますので、具体例をあげて説明しようと思います。
たとえば、土台と柱と屋根のみで周壁が無い状態では、外気分断性に欠け、建物として認定できません。また、工事現場等でよく見かける、仮設の現場事務所においては、コンクリート基礎等で地盤と結着されておらず、定着性に欠け、建物として認定できません。
このように上記①~③の要件を全て満たし、初めて建物表題登記の申請をして法務局が不動産登記法上でいう建物として認定できる状態となります。
また、建物表題登記には、申請義務が課されています。「建物の新築年月日より1ヶ月以内」または「未登記建物の所有権を取得した者については、所有権取得の日から1ヶ月以内」に表題登記を申請しなければなりません。1ヶ月以内に登記申請をしなければ、10万円以下の過料となる規定があります。(しかしながら、これまでに過料となった者はいないと聞きます)
これは、登記記録(登記簿)は不動産取引を行うために備え付けられたものですから、そもそもどのような建物が建てられたのかを公示する必要があります。そのためにも、どのような建物がたったのかを公示するためにも、申請義務を課し、建物が建っているけど登記記録がないということをなるべく避けたいという狙いがあります。
当事務所でも、建物表題登記のご依頼を頂く事は多いですが、上記の申請義務を意識されて表題登記申請をするというより、金融機関からの融資の都合等の事情があり、権利に関する登記の前段として表題登記をされているという印象です。
申請義務がありますが、実際に過料となった事例が無く、また、表題登記をしなければならない理由が無ければ、費用を払って登記をする事に抵抗がある方もいらっしゃると思います。
しかし、未登記のままおいておくと、後々に何らかのトラブルになる可能性があるだけでなく、そのトラブルを解決する為に、表題登記申請にかかる費用以上の費用が発生する可能性もありますので、ご認識のある方は登記申請を再度検討して頂く事をおすすめします。