生前贈与の手続きと税金について

贈与とは

親子間、夫婦間、第三者間で対価をもらわずに財産を渡すことを贈与といいます。親子間、夫婦間、第三者間と書きましたが、要は誰にでも贈与をすることができます。友達に読まなくなった漫画をあげるというのも、贈与になります。

贈与であるためには、「無償」で財産を渡さなければなりません。例えば、読まなくなった漫画を友達にあげる代わりに、その友達から、別の漫画をもらう場合は、「交換」となります。

友達に漫画を100円であげる場合は、「売買」となります。対価が物の場合は、「交換」、対価がお金の場合は、「売買」、対価が無い場合が「贈与」となります。また、対価が必ず同程度の価値である必要はありません。極端な話、1円でも支払えば、「贈与」ではなく「売買」となります。

生前贈与は、文字通り、生きてる間に贈与することをいいます。これに対する言葉なのかはわかりませんが、死因贈与と呼ばれる契約があります。これは、自分が亡くなったらあげるというもので、贈与者の死亡を条件として贈与契約の効力を発生させる停止条件付の贈与契約といわれています。遺言書で贈与する「遺贈」と効力としてはよく似ていますが、死因贈与は、あくまであげる側ともらう側の契約であるのに対して、遺贈の場合は、あげる側が遺言書に書くだけで生じる単独行為という点で異なります。

贈与契約を行う際に、検討すべき税金

贈与を行うときにかかる税金として、まず思い浮かべるのが「贈与税」ではないでしょうか。贈与税には、基礎控除というものが定められいます。一人当たり年間110万円までが基礎控除の範囲内になりますので、1年間に110万円までであれば、贈与税はかからないことになります。例えばお年玉を10万円もらったとします。お年玉も贈与になりますが、10万円であれば基礎控除の範囲内なので、贈与税がかからないのです。

贈与税がかかる場合とは、基礎控除の110万円を超えて贈与を受けた場合になります。先の例でいうと、お年玉の金額が200万円だった場合、基礎控除の110万円を越えているので、基礎控除を越えた90万円について、贈与税がかかることになります。

また、基礎控除は1年間に10万円で、もらう側に対してカウントします。よって、お祖父さんから100万円、お祖母さんから100万円もらった場合は、基礎控除を超えますが、今年にお祖父さんから100万円、来年にお祖母さんから100万円もらった場合は、それぞれ110万円の範囲内のため、贈与税はかかりません。さらに、お祖父さんが長男に100万円、次男に100万円贈与した場合も、お祖父さんは、200万円贈与してますが、ひとり当たりの基礎控除は超えてませんので、贈与税はかかりません。

弊社では、不動産の名義変更の業務をよく行っておりますので、不動産の生前贈与についてのお問合せをよく頂きます。不動産の名義変更の場合は、上述の贈与税に加えて、不動産取得税や、登録免許税という税金についても検討しなければなりません。

贈与税の税率と計算方法

贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。

続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。

次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。

ここでは計算に便利な速算表を掲載します。

速算表の利用に当たっては基礎控除額の110万円を差し引いた後の金額を当てはめて計算してください。それにより贈与税額が分かります。

【一般贈与の場合】(一般税率)

基礎控除後の課税価格 200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 3,000万円超
10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

【特例贈与の場合】(特例税率)

基礎控除後の課税価格 200万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 4,500万円以下 4,500万円超
10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

一般税率と特例税率の違いは、20歳以上の子が、父や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合に特例税率が適用されます。それ以外の贈与は一般税率で計算することになります。

(1) 「一般贈与財産用」の計算

例えば、次のような贈与の場合に、この計算方法となります。

  • 直系尊属以外の親族(夫、夫の父や兄弟など)や他人から贈与を受けた場合
  • 直系尊属から贈与を受けたが、受贈者の年齢が財産の贈与を受けた年の1月1日現在において20歳未満の者の場合(20歳未満の子や孫の場合)

(例) 贈与財産の価額が500万円の場合(「一般税率」を使用します。)

基礎控除後の課税価格 500万円 - 110万円 = 390万円
贈与税額の計算 390万円 × 20% - 25万円 = 53万円

(2) 「特例贈与財産」の計算

例えば、財産の贈与を受けた年の1月1日現在において20歳以上の子や孫が父母又は祖父母から贈与を受けた場合に、この計算方法となります。

(例) 贈与財産の価額が500万円の場合(「特例税率」を使用します。)

基礎控除後の課税価格 500万円 - 110万円 = 390万円
贈与税額の計算 390万円 × 15% - 10万円 = 48.5万円

(3) 「一般贈与財産用」と「特例贈与財産用」の両方の計算が必要な場合

例えば、20歳以上の方が、配偶者と自分の両親の両方から贈与を受けた場合などに、この計算となります。

この場合には、次のとおり計算します。

  1. 全ての財産を「一般税率」で計算した税額に占める「一般贈与財産」の割合に応じた税額を計算します。
  2. 全ての財産を「特例税率」で計算した税額に占める「特例贈与財産」の割合に応じた税額を計算します。
  3. 納付すべき贈与税額は、1と2との合計額です。

(例) 一般贈与財産が100万円、特例贈与財産が400万円の場合の計算

① この場合、まず、合計価額500万円を基に次のように計算します。
(全ての贈与財産を「一般贈与財産」として税額計算)

500万円 - 110万円 = 390万円
390万円 × 20% - 25万円 = 53万円

(上記の税額のうち、一般贈与財産に対応する税額(一般税率)の計算)

53万円 × 100万円 / (100万円+400万円) = 10.6万円…①

次に「特例贈与財産」の部分の税額計算を行います。

② この場合も、まず、合計価額500万円を基に次のように計算します。
(全ての贈与財産を「特例贈与財産」として税額計算)

500万円 -110万円 = 390万円
390万円 × 15% - 10万円 = 48.5万円

(上記の税額のうち、特例贈与財産に対応する税額(特例税率)の計算)

48.5万円 × 400万円 / (100万円 + 400万円) = 38.8万円…②

(贈与税額の計算)

③ 贈与税額 = ① 一般贈与財産の税額 + ② 特例贈与財産の税額

上記の場合 ①10.6万円 + ②38.8万円 = 49.4万円…贈与税額

基礎控除を超える贈与を受けた場合には、贈与を受けた年の翌年の確定申告の時期に、申告をする必要があります。この申告を忘れた場合、追徴課税や無申告加算税が加わることがありますので、くれぐれも贈与税の申告を忘れないようにしましょう。

贈与と相続の違い

贈与と相続の違いは簡単にいえば、生前に財産移転するのか、亡くなってから財産移転するのかという違いになります。

ただ、税務面で考えると大きな違いがあります。贈与の場合は、「贈与税」、相続の場合は、「相続税」が検討すべき税金となります。上述の通り、贈与税の基礎控除は年間110万円ですので、不動産などを贈与した場合には、すぐに基礎控除を超えてしまいます。これに対して相続税の基礎控除は、3,000万円+(相続人の数×600万円)となります。お父さんが亡くなって、相続人が奥さんと子供二人の場合は、4,800円が基礎控除となります。基礎控除の額が大きく異なるので、相続発生時に基礎控除を超えている方は10%に満たないと言われています。

さらに不動産の名義変更の場面で考えると、贈与の場合にはかかる不動産取得税が相続の場合にはかかりません。また、登録免許税は、贈与の場合でも相続の場合でもかかりますが、税率が贈与の場合、相続の場合よりも5倍高いのです。

よって不動産を生前に贈与したいという方は、これだけ高い税金を払ってでも贈与するメリットがなければ、ほとんどの方はされません。

贈与税を軽減する方法

財産を贈与する場合の贈与税を軽減する方法としては、主に以下の方法があります。

  1. 相続時精算課税制度をつかう
  2. 居住用不動産の夫婦間贈与の特例をつかう
  3. ③暦年贈与を活用する
  4. ④教育資金贈与の特例を活用する
  5. ⑤居住用住宅購入資金贈与の特例を活用する

不動産を贈与する場合によく使われるのは、①②③になります。

①相続時精算課税とは

これは、贈与税を軽減する最もポピュラーな方法かと思います。

相続時精算課税の制度とは、一定の直系親族間の贈与に認められた特例です。

相続時精算課税制度を選択した場合、2500万円までは贈与税なしで贈与が可能であり、2500万円までの贈与には贈与税がかからず、2500万円を超える部分に20%の贈与税が課されます。贈与財産の種類、金額、贈与回数、年数に制限はありません。贈与者の相続時は、相続時精算課税での贈与財産を加算して相続税を計算し、この相続税といったん支払っていた贈与税との差額を支払います。

②居住用不動産の夫婦間贈与の特例

婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産または居住用不動産を取得するための資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たすと贈与を受けた居住用不動産または取得資金から2000万円の控除が受けられる特例です。

20年以上婚姻期間が継続している夫婦であれば、居住不動産を贈与する場合は、この特例を使えば2,000万円分までは贈与税がかかりません。

③暦年贈与

暦年贈与とは、1年間に110万円の基礎控除があるため、一度に贈与せずに何年かに分けて贈与することで贈与税を軽減することができます。

例えば、1,200円分の財産を贈与する場合、1回で贈与すると、

1,200万円―110万円=1,090万円

1,090万円×45%-175万円=315万5千円(一般税率)

の贈与税がかかります。

例えば、これを3回に分けて、1年に400万円分ずつ贈与すると、

400万円―110万円=290万円

290万円×15%―10万円=33万5千円(一般税率)

33万5千円×3回分=100万5千円

となり、納付額を3分の1以下にすることができます。

このように、贈与をする場合には、贈与税を検討することが不可欠であり、贈与した後に多額の贈与税がかかってしまったとならないように、特に価値の高い不動産の贈与を検討されている方は一度、専門家に相談されることをお勧め致します。

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