先日、新しい元号が発表されましたね。
「令和」
日本古典である万葉集から初めての採用ということで話題になりました。
また、「令」の漢字が日本の元号に使用されるのも初のようです。
今回は、そんな元号と登記のお話です。
不動産の登記記録には登記の年月日や登記原因日付など、「年」を登記事項として記載することが多いのですが、登記記録は年を「西暦」で記載することはできず、全て「元号」にて記載されます。
元号にて記載しなければならない根拠ですが、これは法律(不動産登記法)に書いてあるわけではなくて行政通達による実務上の運用となっています。
実際に不動産登記法では下記のように「年月日」とだけしか規定されておりません。
「不動産登記法第59条 」
権利に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。
一 登記の目的
二 申請の受付の年月日及び受付番号
三 登記原因及びその日付
そもそも元号は皇室典範にて規定があったのですが、戦後の日本国憲法制定にあたって皇室典範が改定されたことにより、元号の法的根拠が失われていた時期が続いていました。
しかし官民問わず、昭和という元号がそのまま一般的に使用され続けてきたのです。
そして昭和54年に「元号法」が施行され、元号の法的根拠が復活することになりました。
「元号法」
- 元号は、政令で定める。
- 元号は、皇位の継承があった場合に限り改める。
元号法は、たった2項だけの構成という、極めて短い法律としても有名です。
その元号法が施行された際に、登記及び供託事務の取扱いについての依命通知が出されました。
「昭和54年7月5日民三第3884号・民事局第四課長依命通知」(一部抜粋)
申請書及びその添付書面中の日付の記載として西暦を用いても、登記記録に日付を記入するときは、すべて元号を用いることとする。
そのため登記申請書を西暦で作成したとしても、登記記録には元号にて記載されることになります。
例えば申請書に2019年5月15日売買と記載した場合であっても、登記記録には令和1年5月15日と記載されます。
また、「元年」も登記記録には記載されず、「令和元年」は「令和1年」と登記記録に記載されるようです。こちらは通達とかではなく法務局のシステム上の都合だとか聞いたことがありますが、本当にそれだけの理由なのでしょうかね。
最近では西暦にて契約書等を作成する金融機関も増えてきましたが、どちらかに統一されていないと申請書作成の際に間違えてしまいそうで司法書士としては注意が必要です。
余談になりますが、新元号の「令和」から「西暦」に変換したい場合は、令和に「018(レイワ)」を足して計算すると分かりやすいそうですね。
例)
令和1年+018=西暦2019年
令和5年+018=西暦2023年
以上、元号と登記のお話しでした。