今回は、「長期間相続登記がされていないことの通知」についてのお話です。
新しく始まった制度ですが、先日この通知書が届いたお客様より相談を受ける機会がありました。
どういった制度かというと、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」に基づいて、長期間にわたって相続登記が行われていない土地の登記名義人の法定相続人を法務局が調査し、その中の任意の1名に、「通知書」を送る制度になります。
(HPより引用)
土地の所有者が亡くなった後に、相続人に名義を変更するための相続登記が長期間にわたって行われていないため、現在の所有者が不明となっている土地が増えていることが社会問題となっています。
このような土地を解消するため、法務局が長期間にわたって相続登記が行われていない土地を調査し、その土地の所有者の法定相続人を探索する作業を実施しています。
法務局は、特別措置法に基づいて、土地所有者の死亡の有無や法定相続人を調査するために職務上の権限で戸籍謄本等を請求して取得することが認められています。
その調査に基づいて、法定相続人となる方のうちの1名の方に対して、この機会に相続の登記申請を行ってはどうですか?といった通知書を送付しています。
通知書は、複数いる相続人のうち1名にしか届きません。相続人のうち、誰に通知書を発送するかは、不動産の近郊に居住されている方や、親等的に近い方など、所有者を知っていそうと思われる方を選んで、通知書を送付されているようです。
また登記簿には、長期間相続登記未了である旨の付記登記がなされます。この付記登記は相続登記が行われることによって抹消されます。
相続登記は現在のところ義務ではありません。しかし、相続登記を行わないまま長期間放置していると、様々なデメリットが生じるおそれがあります。
【相続登記を放置したデメリット】
- 相続登記を行わず放置している間に、新たな相続が発生すると法定相続人が増えて権利関係が複雑になっていく。
- 法定相続人が増えると法定相続人の調査に時間がかかったり、相続登記を行うための費用が高額となるおそれがある。
- 相続登記が行われていない場合は、権利関係が確定していないので、不動産の処分をすることができない。
- 相続登記が行われていない場合には、災害が発生時などに、所有者の特定が困難なため復旧作業の妨げになるなどの問題が発生する。
上記のように、相続登記を行わなければ様々なデメリットが生じてしまいます。
そのため、通知書が届いた場合、これを機会に相続登記することを考えてはいかがでしょうか?
この通知を行う際に、法務局が職権で相続情報を調査されているので、基本的に戸籍収集の作業が不要になります。
膨大な量の戸籍収集を行う必要がないので、通常よりも費用を抑えて相続登記の申請を行う事ができます。
通知書が届いた方は、一度ひかり司法書士法人にご相談ください。