今回は、突然、家を失ってしまうかもしれないという怖い話をしたいと思います。
あなたの家が建っている土地は誰の名義になっているでしょうか。
自分の名義だよっていう声が沢山聞こえてきそうですが、実は、全ての人がそうとは限らないのです。
建物は自分名義だけど土地は他人名義になっているという人は意外と多いです。
それは、土地を借りて、家を建てている言わば、土地を借りているという状態なのです。
そうか!地主に突然出て行けと言われて、出ていかないといけないくなるのかと思ったあなた、簡単に言えばその通りですが、ちょっと違います。
なぜなら借地人は、借地借家法で守られていて、正当な理由が無いかぎり、出ていく必要はないので、いくら地主でも急に強制的に出て行かすことはできないのです。
借地借家法とは
土地の貸し借りや、住宅の貸し借りには借地借家法という法律が適用されます。
「借地(土地を借りる)」と「借家(家を借りる)」のために規定された法律で、借りる側に強い権利を与え、借主を保護する法律となっています。
「土地を貸したら帰ってこない」という覚悟で土地を貸し出さなければならないと、よく言われているぐらい、借主よりの法律となっています。まぁ住むことは憲法で守られているので当たり前ですが。
時代が変わって地価が上がってくると、地主側からすると、安い地代で貸しているよりは、ビルでも建てたほうが良いとなり、借地人に対して土地を返してとなるわけです。
しかし、簡単には借地人は返してくれません。なぜなら、親の代から借りているなど昔から借りている場合は、当時の価値での地代で借りているので、今の周辺相場からするととんでもなく安く借りられているのです。
ここからが怖い話になります。
不動産にはいろいろな悪い人が関わってきます。最近で言えば地面師ですね。
バブル時代には地上げ屋というのが暗躍しておりました。
地上げ屋とは、建築用地を確保するため、強引な手法による不動産の売買を進めていく人のことです。
その一つが借地人を強制的に出て行かすというものです。地価が上がりそうな土地を買って、借地人を出て行かし、土地を高値で売るというものです。
ではどうやってするのかというと、
まず借地上の建物を壊します。そして建物滅失の申出をします。後は土地を売るなり、ビルを建てるなりするわけです。
借地借家法では、建物を利用することを目的として土地を借りる場合を想定しています。
ですので、借地上の建物が無くなると借地借家法の効力がなくなるわけです。
どうやって建物を壊すかは、ここでは言えませんが、悪いことをする人はよく考えるものです。
壊した後は、通常は建物所有者からする建物滅失登記を、所有者不明として、土地所有者から申出をして、借地借家法の適用となる借地上の建物を滅失するわけです。
これはバブルの話だけでなく、オリンピックや万博で地価が高騰しているので、今でもあることなのです。
ネットで検索すると、借地関係の地上げ事例が出てきます。
住んでいる居宅だけでなく、遠くにある倉庫とかでもあります。遠くにある倉庫は頻繁に行くことはないので、行ってみると無くなっているということもあるのです。
対策としては、家を長期間空き家にしないということと、一番は、地主と良好な関係を続けること、周辺相場より安い地代に関しては、地主と協議し、相場に近づくように努力するなどが挙げられます。
話がそれますが、建物を壊されたら、裁判をしたら良いのでは?というのがありますが建物の賠償請求はできたとしても、土地は返ってこないので、どこかに引っ越さなければいけないのです。住み慣れたところを離れるのは辛いですよね。
法律で守られていると言っても、その権力に溺れないように気を付けなければいけないということです。
人間は一定の権力を持つと、自分を客観的にみることができなくなり、正しい判断ができにくいというのがあります。
自分は守られているから、何をしても良いんだ、自分が正しいのだと思い始めたら要注意です。
まぁそうなってはバイアスが掛かってしまってますので、すでに遅しとなりますが、この記事を読んでいるあなたはまだ大丈夫です。権力に溺れず借地人としての正しい判断をして、地主と良い関係を続けてください。
以上簡単ではありますが、「突然、家を失ってしまうかもしれないという怖い話」をお話しました。