相続分野の民法が40年ぶりに改正

相続分野の民法が約40年ぶりに改正されるようです。今回の改正は、現在の高齢化社会への対応を目的としたもので、早ければ2022年に施行される予定ですが、今後の相続はどのように変わっていくのでしょうか。

改正点はたくさんありますが、特に今後の相続に影響を与えそうな改正点は以下の通りです。

    1. 配偶者居住権というものが認められるようになったこと
    2. 被相続人の介護や看護で貢献した親族は金銭請求ができること
    3. 自筆証書遺言の要件が緩和され、法務局で保管されるようになったこと

1,配偶者居住権というものが認められるようになったこと

配偶者居住権という権利自体が新しく創設されました。

これは、遺された配偶者が、そのまま住み続けていくために、家を相続した場合、預金債権がなければ、金銭を相続できない、場合によっては、家を相続したためにその分の金銭を他の相続人に支払わなければならないという問題に対応して認められるようになりました。例えば、被相続人の妻と子2人が相続人の場合、被相続人の財産が家(3000万)と預金(1000万)の場合、妻が今後も住み続けるために、家の所有権を相続すると、それだけで遺産総額(4000万)に対する、法定相続分の2分の1を超えてしまうため、500万ずつを子にそれぞれ渡さなくてはいけなくなり、手持ちのお金がなければ結局、売却しなければならない事態が起こってしまいます。

これに対して、居住権の評価は、所有権そのもの(3000万)よりもずっと安いので、自宅に住みながら、預金も相続することができると考えられます。

2,被相続人の介護や看護で貢献した親族は金銭請求ができること

従来の民法でも、被相続人の財産を増やすことに貢献した場合、通常の法定相続分にその分を上乗せできる寄与分というものがありましたが、相続人が被相続人の介護や看護をすることは、当然で、寄与分にあたらないとされてきました。

そのため、長女はずっと、親の介護、看護をやってきて、長男は家を出ていったきり何もしてこなかった。でも相続分は平等となり、いざ相続の時に、揉めるケースが多くみられてきましたが、そういうケースに備えて、介護や看護した場合の金銭請求を認めた形の改正です。

さらにポイントは「親族が請求できる」とされている点です。

例えば、息子の嫁が介護・看護した場合に、相続人に対して金銭請求が出来ることになります。これはこれで揉めそうですが、これによって、相続人ではないのに介護・看護をしてきた方は、その分を金銭として請求することができます。

3,自筆証書遺言の要件が緩和され、法務局で保管されるようになったこと

今まで、自筆証書遺言は全文自署が必要で、自分で保管し、開封の際は、家庭裁判所による検認が必要でした。

まず、全文自署について、財産がたくさんある方だとそれを自署で書くことがそもそも大変でした。これに対して、改正民法では、財産目録については手書き要件がなくなりましたので、パソコンなどで作成し、「財産目録①の財産は、長男に」というように書けばよくなりましたので、かなり負担が減ったと思います。

また、自分で保管は、相続人としては、存在を知っていて保管場所も知っている場合はいいのですが、存在だけ知っていて保管場所がわからない場合が、かなり面倒になります。せっかく遺産分割協議をしても後から出てきてやり直しとなることもあります。これが、法務局にて保管をしてもらえるようになります。おそらく法務局に問い合わせれば検索してもらうこともできるようになり、遺言書を捜索しなければならない相続人の負担がずっと減ります。

最後に、上記の法務局で保管された遺言書については、家庭裁判所の検認が必要ないので、相続人にとってはひと手間減ります。

40年前と今とではかなり時代も変わってきてますので、現在にあった形での改正となっているようです。

相続の相談をしていると、まだまだ、財産は長男が、というお考えを持っている方がたくさんおられます。

これは旧民法の家督相続の時代からの考え方で家というものを継続していくには分割せずにすべて一人が相続した方が家を継続していくためにはいいという考え方です。現在の民法の法定相続人は平等にという考え方とは異なりますが、このような考え方が相続における争いを少なくしてきたのではないかと思っています。

現在は、相続分は平等という考え方が浸透し、平等を徹底することによって、昔と異なり、争いは増えてしまうのではないかとも思っております。

そのためにこれからの相続は、遺される相続人のために、きっちりご自身の財産を整理して、遺言書を作成して生前のうちに分割の方法を定めて

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