相続税なんてお金持ちだけの話だと思っていませんか。たしかに、相続財産が多い方だけの話であることには違いありません。
しかし、相続税法が改正されたことによって、いままで全く問題のなかった人たちであっても、相続税の対象の人になっているかもしれません。
預貯金などの金銭だけであればその判断もし易いものではありますが、不動産や株券であれば、その評価がいくらかによって相続税の対象になるかどうかが分かれてきます。
相続税は自己申告となり、自分から調べて申告する必要があります。つまり、税務署からあなたが対象者ですよとは親切に言ってくれません。しかし、実際は申告が必要であったにもかかわらず、数年してから税務署から指摘を受けて、本来納めるべき税額に追加で納税しなくてはならないといったことも起こってきます。
とりあえずは調べてほしいという方には相続財産簡易評価というサービスも行っていますのでまずはお気軽にお問い合わせ下さい。
相続税の改正(平成27年1月1日以後)
相続税がかかるかどうかのボーダーラインを「基礎控除額」といいますが、平成27年1月1日以後の相続からこの基礎控除額が大幅に減額されました。以前の基礎控除額は(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)ですが、これが(3,000万円+600万円×法定相続人の数)となりますので、妻と子3人のご家族の場合の基礎控除額は8,000万円から4,800万円に大幅カットされます。
3,000万円+(600万円×3)=4,800万円が基礎控除額となります。
基礎控除額を超える場合には相続税の申告が必要となるため、この改正により、これまで4%程度だった申告割合が7%程度に増加するといわれています。
夫名義の財産は、土地2,000万円、家屋700万円、預金2,000万円、その他財産2,000万円、債務葬式費用200万円で、財産は、1/3ずつ分割する場合。
【相続税の計算は、次のようになります】
- 課税価格の合計額を計算します
土地2,000万円 + 家屋700万円 + 預金2,000万円 + その他財産2,000万円
– 債務葬式費用200万円 = 6,500万円(父の課税価格の合計額)
- 基礎控除額を計算します
3,000万円 + 600万円 × 3人(法定相続人の数)= 4,800万円
- (1)-(2)=1,700万円(相続税計算の基になる金額)
- まずは法定相続分とおりに相続税を計算します
1,700万円×法定相続分
(妻1/2)×税率10%=85万円
(長男1/4)×税率10%=42万5千円
(長女1/4)×税率10%=42万5千円
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相続税の合計:170万円
- 財産を取得したごとの税額を計算します(百円未満切捨)
170万円×妻1/3=566,600円⇒配偶者軽減により:納税額0円
170万円×長男1/3=566,600円
170万円×長女1/3=566,600円
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実際の納税額の合計:1,133,200円
– 債務葬式費用200万円 = 6,500万円(父の課税価格の合計額)
(妻1/2)×税率10%=85万円
(長男1/4)×税率10%=42万5千円
(長女1/4)×税率10%=42万5千円
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相続税の合計:170万円
170万円×長男1/3=566,600円
170万円×長女1/3=566,600円
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実際の納税額の合計:1,133,200円
※あくまで概算計算のため、財産の状況・取得者等により納税額が変動します。
※土地については、評価減の項目が多数存在します。そのため、土地の評価に精通した税理士に依頼することをお薦めいたします。
相続税の申告を相続人様ご自身で行うことは可能です。
ただし、相続税の申告は、財産の把握、相続評価、遺産分割、特例の適用、税額計算から申告書の作成に至るまで、様々な専門知識を必要とするため、税理士ではなく個人の方が申告をすると、相続税を多く納税しすぎたり、あるいは、申告漏れや税務調査の可能性が高くなります。
これらのリスクを回避するためにも、相続の専門知識・経験を有する税理士に任せることが結果として節税につながることが多いのも事実です。
人が亡くなると、その親族などは一週間以内に死亡届を市区町村に提出しなければならず、市区町村はこの死亡届の記載内容を税務署に通知することとなっています。このため、税務署はこの段階で相続の発生を把握しています。
また、税務署は市区町村から提供される固定資産の情報や、保険会社から送付される支払生命保険金の調書、死亡した人の預貯金から、大体の相続財産の状況を把握することができます。
ここで、相続税の申告が確実に必要と判断される場合には、税務署は相続人代表者に相続税の申告書を送付し、また、相続税がかかる可能性があると見込まれる場合にはこの「相続税についてのお尋ね」を送付することとなります。
このため、「相続税についてのお尋ね」が送付されてきたということは、税務署はある程度の相続財産を把握しているということであり、相続税の申告の要不要を判断する材料とするため、きちんと回答すべきです。この回答内容と税務署が把握している情報から、明らかに課税されない場合は、回答だけで済む場合もあります。
相続税の納付義務があるのに、それに気付かず申告納付を失念し、その後税務署からの指摘により改めて納税する場合には、通常の相続税額よりかなり高い税負担を強いられる可能性があります。
相続税の申告が必要かどうか不安な方は、税理士等の専門家にすぐに相談するようにしてください。
顧問税理士の先生とは従来どおり所得税や法人税に関するお付き合いをしていただき、相続等の相談・申告手続き等はご依頼いただくことが可能です。
多くの税理士の先生は、相続税業務を行うのは平均年1件以下であり、豊富な申告経験がない方がほとんどです。
また、相続税申告は、所得税や法人税とは全く異なる知識が必要となるため、知識と経験が豊富な相続税を専門としている税理士にご依頼されることで安心と満足が得られます。
最近では、顧問税理士の先生に相続等のご相談をされておられる場合でも、セカンドオピニオンとして”ひかりのグループ税理士法人”をご利用いただくお客様も増えています。
相続税対策と一口にいいましても生前贈与、不動産の有効活用、財産の整理、保険の活用法人設立、遺言書の作成、養子縁組の活用など手法はさまざまです。
まずは相続試算をさせていただき、ご家族の状況や分割のご希望をお聞きしたうえで、最適な対策をご提案させていただきます。
もちろん、対策実行後の贈与申告、譲渡申告、不動産所得申告、法人顧問業務につきましてもご相談下さい。
サービスの概要
- 相続対策の第一歩は現状把握
相続対策を考えるにあたって、まずは現状を正しく把握することが重要です。どのような財産があって相続税はいくらかかるのか?納税資金は十分か?適用可能な特例等の要件はきちんと満たしているか?相続税試算を行うことで現状の課題がみえてきます。 - 相続対策のプランニングをご提案
相続対策というと節税のことばかりが気になりますが、節税だけでは十分な対策とは言えません。相続税の試算結果をもとに、お客様のニーズにしたがった具体的な対策案を二次相続も踏まえてご提案をさせて頂きます。
節税効果やメリット・デメリットを詳細にご説明し、可能な限り「円満な相続」と「節税の最大化」を両立させることを目指します。
相続対策の例
- 贈与(暦年贈与、贈与税の配偶者控除、相続時精算課税制度の選択、住宅取得等資金の贈与、教育資金に一括贈与など)
- 生命保険の活用
- 土地の有効活用、資産管理会社の活用
- 自社株対策、相続税の納税猶予制度の選択
- 遺言書の作成
- 養子縁組
- 農地の納税猶予、延納、物納の検討
- 信託の活用
定期的な見直しも忘れずに
時の経過とともに、不動産や株の価額は変動しますし、ご家族の状況も変わります。さらには相続税法の改正も考えられます。当初のプランも時代の変化とともに陳腐化してしまいますので、一度たてた計画で安心せずに定期的に見直し、効果の再検証と再プランニングを行いましょう。
諸税金
相続によって不動産を取得した場合、不動産取得税はかかりませんが、登記を行う際、登録免許税として不動産の価額の0.4%が課税されます。
また、固定資産税は1月1日時点の固定資産の所有者に課税されますので、翌年からは毎年納税義務者となります。
相続後の不動産売却
不動産を売却した際には、その売却益が譲渡所得として課税されます。
売却益は、その不動産を取得した当時の価格を売却価格から引いて算出しますが、相続で得た不動産は、取得した時の金額がわからないということも少なくありません。その場合、売却代金の95%が売却益とされてしまうので、かなりの税金がかかることになります。
ただし、相続によって取得した不動産、株等は、相続税の申告期限の翌日から3年以内であれば相続税の取得費加算の特例というものを使うことができます。これは納めた相続税のうち一定の金額を譲渡取得費に加算することができるというものです。これにより売却益を削減し、譲渡所得を抑えることができます。
相続税がかかるかどうかのボーダーラインを「基礎控除額」といいますが、平成27年1月1日以後の相続からこの基礎控除額が大幅に減額されることになりました。現在の基礎控除額は(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)ですが、これが(3,000万円+600万円×法定相続人の数)となりますので、妻と子3人のご家族の場合の基礎控除額は8,000万円から4,800万円に大幅カットされます。
基礎控除額を超える場合には相続税の申告が必要となるため、この改正により、これまで4%程度だった申告割合が7%程度に増加するといわれています。
相続税の納税は、延納・物納が認められたときを除き、原則、現金一括支払いとなっています。相続発生から10ヶ月以内に税金が支払えない場合、完納する日までの日数によって延滞税がかかります。
また、納付期限までに税金を支払わない場合、延滞している相続人に対して、督促・財産の換価処分・差押えなどの行政処分を受けることになります。万が一、督促状を受理した場合、その後の行政処分に繋がらないよう、速やかに対応する必要があります。
なお、相続税は、相続人全員が、連帯納付義務を負うことになります。延滞している相続人がいる場合、別の相続人に対しても、原則的には、相続税と利子税の請求がなされることになります。
相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内となっています。納税の期限も、同じ日となっているのでご注意ください。
申告期限までに申告をしなかった場合、無申告加算税や延滞税が課せられることになります。遺産分割が確定していない場合であっても一旦申告を行い、後から更正の請求を行うという方法がありますので、税理士等の専門家にご相談ください。
相続税は、原則として全ての相続財産に対して課税されますが、国民感情や社会的政策などの理由から非課税とされているものがあります。
これらは相続税の非課税財産といい、具体的には次のような財産になります。
①墓地・仏壇など
墓地や仏壇、仏具には相続税はかかりません。ただし、日常使用されているものではなく、純金製など極端に高価なもの、投資用のものについては課税対象となることがあります。なお、相続開始後にお墓等を購入しても相続財産から控除できませんので、ご留意ください。
②生命保険金・死亡退職金の一部
生命保険金や死亡退職金は本来の相続財産ではなく、みなし相続財産となりますが、これらについては相続人の生活保障の観点から「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が設けられています。例えば、相続人が3人の場合に、妻が死亡保険金を受け取っても1,500万円までは相続税がかかりません。
③弔慰金
弔慰金については、月額給与の6ヶ月分まで非課税ですが、業務上の死亡の場合は3年分まで非課税となります。
④国等への寄付金
相続により取得した財産を国や地方公共団体、公益法人などへ寄付した場合には、その寄付した財産は非課税となります。
親に借金を肩代わりしてもらうと、子供は親から贈与を受けたとして、贈与税が課されることがあります。
これを「みなし贈与」といいます。
ただし、子供が債務超過になっており、その時点では明らかに返済能力がない場合に限り、贈与税はかかりません。
その他に、「みなし贈与」と認定されるものに、保険料負担者以外の人が満期保険金を受け取った場合や、著しく低い価額で財産を譲り受けた場合なども該当します。
お互いに贈与したり、されたりするつもりではなかったのに、贈与と認定されて課税されることがないように、くれぐれも注意してください。