司法書士の冨永です。
相続登記(不動産の名義変更)を申請する際に「上申書」という書類が必要になる場合があります。
上申書は通常の相続登記では添付する必要がない書類なのですが、次のようなケースには必要になってきます。
たとえば、相続関係を証明するための原戸籍や除籍が発行されないケースです。原戸籍や除籍には保存期間があり、これを過ぎると発行されなくなります。火災などにより除籍が無くなっている場合もあります。
原戸籍や除籍が発行されないと相続関係が確定できないので他に相続人がいる可能性もあります。このような場合に相続人全員で、私たちの他に相続人はいませんという事を証明するために上申書を添付するのです。
また、被相続人の登記簿上の住所と、亡くなったときの最終の住所が違う場合には、同一人物であるという事を証明するために、住所の繋がりを住民票(除票)や戸籍の附票で証明する必要があります。
これらの書類も、原戸籍や除籍と同様に保存期間があるので、保存期間が過ぎると発行されなくなります。そういった場合には、被相続人と登記簿上の名義人が同一人物であるという事を証明するために、相続人全員で上申書を提出するのです。
しかも、除票や戸籍の附票は、保存期間が5年と短いため、被相続人が亡くなってから相続登記をせずに放置しておくとすぐに発行されなくなってしまいます。
上申書を添付して相続登記を申請する場合は、他に権利書や納税通知書などの提出を求められることもありますので、事前に法務局に確認することが必要になってきたりもしますので注意が必要です。
毎年4月末から5月の上旬にかけて固定資産税の納税通知書がやってきます。
納税通知書は原則、不動産の登記名義人宛に送られます。
もし登記名義人が亡くなられている場合はその相続人様に送られることになります。納税通知書の宛名がお亡くなりになった方の名前で来ている場合は相続登記が出来ていない可能性があります。
相続登記はすぐにしなければならないものではありませんが、ずっと放置しておくとさらに相続が発生し、上手く話がまとまらず最悪登記の名義変更がスムーズに出来なくなってしまうことがあります。
お亡くなりになっている方宛に納税通知書が届いた方は一度お問い合わせください。