相続の大前提として、相続人になるためには、被相続人が死亡し、相続が発生した時にその相続人が生きていることが必要です。
では、父と母と弟が兄を家に残しての家族旅行中の事故等により、全員が亡くなってしまった場合はどうなるのでしょう。
上記のような事例の場合、同時死亡の推定が働き、父と母と子はみんな同時に亡くなったことになります。
この同時死亡の推定が働くか否かによりどのような違いがあるかといいますと、同時死亡の推定が働く場合、父の財産について母と弟は冒頭の相続人が生きているという要件を満たさないため相続人は兄のみとなります。但し弟に子がいれば、代襲相続の対象にはなります。
逆に同時死亡の推定が働かずに、父よりも後に母と弟が亡くなったとされた場合、一旦母と兄と弟の三人で相続し、その後母と弟に新たに相続が発生することになります。
弟の持分について兄は第三順位の相続人となるので、弟に子がいる又は祖父祖母がまだ生きている場合、兄は弟の持分について相続することが出来ません。
この同時死亡の推定を覆すには、その効果を争う者で同時に死亡していないことを証明しなければなりません。