遺言書作成マニュアル 〜幸せな相続のために「遺言書」を書こう 〜

遺産が1,000万円以下でも相続争いは起こる!
幸せな相続のためにも「遺言書」を書こう!

相続の問題は、親の遺産の額とは関係なく起こります

相続というと、親が残した莫大な財産をめぐって遺族の間で争いが起きる、というイメージがありますが、実は、相続の問題・争いは、親の遺産の額とは関係なく起きるのです。それはデータを見ると分かります。家庭裁判所の調停や審判に持ち込まれ「遺産分割事件」になった、つまり遺族が遺産の分割を相談する「遺産分割協議」で合意ができずにもめて裁判になった例は、平成28年度は12,188件ありました。これを財産の評価額別に見ると、「1千万円以下」のケースが33%、「5,000万円以下」が42%で、つまり全体の75%は5,000万円以下の遺産相続で争いが起こっているのです。

一般的なケースでいうと、亡くなった人の遺産総額(相続財産)のうち、この金額までは非課税になりますよ、という相続税の基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人の数と決められています。

配偶者と2人の子どもが相続人であれば3,000万+600万×3人=4,800万円を超えないと相続税はかかりません。

「ウチは財産がないから大丈夫だよ」と思っている人、データでわかる通り相続争いは、「相続税のかからない相続」で生まれているのです。ちょっとした不動産+預金ぐらいの規模であっても、裁判所に持ち込まれるほどこじれます。

相続が「争族」とならないためにも、遺言書をつくっておきましょう。

遺言書を作るまえに知っておきたいこと

しこりを残さない相続のためには…

相続を円満に乗り切るには、家族で争わないことが大前提です。
遺言は、こっそりつくって隠しておくと、かえって争いの元になります。遺言書を作る方におすすめしたいのは、配偶者や子どもなどの相続人に、遺言書をつくることやその内容を教えておくことです。遺言の内容を相続人に教えることができない場合は「付言事項」を活かして、なぜこのような内容の遺言にしたのか、あなたの真意を書くようにしましょう。

円満に相続手続きをさせるための4原則

①相続人全員に知らせておく。こつそりつくらないこと。
②遺産分割は公平にするのが無難。

自分の財産にどのようなものがあるか調べ、目録をつくりましょう。誰にどの財産を相続させるか、各自の立場を考えながら慎重に検討します。大切なポイントとしては、遺留分を配慮しておくことです。

遺留分とは?

民法で定められている一定の相続人が最低限相続できる財産のことをいいます。
基本的には、亡くなった人の意思を尊重するため、遺言書の内容は優先されます。しかし、「愛人に全財産をあげる」という遺言書をつくら れてしまうと、残された家族は悲惨です。ですから、民法では最低限相続できる財産を、遺留分として保証しているのです。遺留分が保証されている相続人は、配偶者、子ども、父母です。法定相続人の第3順位である兄弟は、遺留分を保証されていません。

遺留分の内容
遺留分の内容

③公平な遺産分割にならない時は、理由を明記する。

付言事項を活用して、その理由や意思を書いて、相続人に伝えます。

④財産のことだけでなく、感謝の気持ちなどを書く。

気持ちを書くことは、最良の説得材料になります。

スムーズにいく遺言書づくりの手順

遺言書作成のための下書き見本
遺言書作成のための下書き見本

遺言を書くための準備をしましょう。まず、自分が亡くなったときの相続人は誰か、メモ書きして再確認します。そして、自分の財産内容を箇条書して確認し、評価もしておきましょう。相続人のリストと財産内容を見ながら、遺言書を書く前に、遺言の内容を原稿用紙に書いて整理しましょう。

①相続人の確認をする。
②財産の確認と整理をする。《不動産、動産(不動産以外のすべての財産。現金・商品など)、負債などを確認する》
③遺産分割の内容や付言事項などを原稿用紙に書いてみる。
④遺言書の種類を決めて遺言書を作成する。

※遺言書を下書きした段階で、司法書士などの専門家のチェックを受けておくと安心です。


遺言書を書く下準備として揃えておきたい書類

自分にあった遺言の種類を選ぼう。

民法で定められている遺言の方式には、表のような種類があります。


遺言の種類

「特別方式の遺言」とは、病気などで死が迫っているときや、飛行機が遭難して死が迫っているとき、伝染病で隔離されているときなど、特殊な場合だけに認められている遺言です。
それ以外の通常の場合に残す遺言を「普通方式の遺言」と呼んでいます。

「普通方式の遺言」には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があって、それぞれにメリット、デメリットがあります。

自筆証書遺言

遺言者が、遺言書の内容をすべて一人だけで書くやり方です。証人が不要で、費用がかからず、手軽に作成できる最も簡単な方法です。その反面、遺言書が発見されないケースや偽造、改ざんのおそれがあり、かえってトラブルを招くこともあります。忘れてはならないこととして、自筆証書遺言の場合、遺言者の死後、家庭裁判所の検認が必要なことです。
※検認とは/家庭裁判所に遺言状をもっていき、遺言書の偽造、変造を防止するために、遺言書の記載を確認する手続きのこと。遺言者が亡くなった後、相続人が家庭裁判所で手続きをします。

公正証書遺言

遺言者が用意した下書きや口頭で述べた内容を、2人以上の証人の立ち会いのもと、公証人が文書にする遺言書です。法的な不備は回避できますが、費用がかかります。
財産がとくに多い人、家族関係が複雑な人、相続人同士の仲が悪くてもめそうな場合におすすめします。
※公証人とは/公証役場にて公正証書などの作成を行う人。公証人は、弁護士、検察官、裁判官、法務事務官など、原則30年以上の実務経験を有する法律実務家から法務大臣が任命します。

秘密証書遺言

遺言の存在を明確にしつつも、その内容を秘密にしたいときに最適なやり方です。遺言書を秘密に保管するための方式で、公証人に依頼し、証人2人の同行も必要です。「自筆証書遺言」は、手軽にできる反面、紛失や偽造の危険があります。「公正証書遺言」は、正確な遺言をつくれる反面、証人から遺言の内容がもれる心配があります。これらの欠点を解消しょうというのが秘密証書遺言です。

遺言には前述のような種類があり、このなかから、自分に適したものを選びましょう。


普通方式の遺言書の種類と特徴

《実践編1》

自筆証書遺言の書き方と見本


自筆証書遺言の手書き見本

自筆証書遺言の記入のポイントは?

自筆証書遺言をせっかく残しても、それが遺言者の死後に実行されなくては意味がありません。そのためには、法的に有効な遺言書を作成しておくことです。例えば『自宅は長男に相続させる』などと場所や建物が特定できない記載の場合は、その遺言書では移転登記ができないのです。あらためて相続人全員による分割協議が必要となってしまいます。
以下、注意点を列記しました。

①自筆で書く。

遺言の内容、日付、遺言者の署名など、遺言書全文を直筆で書かなければ、その遺言書は無効になります。遺言書はすべてを自書してください。パソコンで作成したものや代筆してもらったものも無効です。音声やビデオの映像での遺言も無効です。
用紙や筆記用具に制限はありませんが、用紙は、家庭裁判所では検認の際にコピーをとるのでA4やB5などのサイズがよいでしょう。

②表題をつける。

最初に、「遺言書」「遺言状」といった表題を書きます。

③書き出しは明瞭に。

表題に続いて「遺言者◯◯◯◯は、次のとおり遺言する」または「遺言者は◯◯◯◯は、次のように遺言する」と書きます。

④一番重要な本文。

遺言したいことをわかりやすく整理して書きましょう。

  • 財産のなかに不動産がある場合は、登記簿謄本を取り寄せ正確に記載します。明確でない場合に遺言書による登記の移転ができない場合が生じます。土地であれば所在地、地番、地目、地籍などまで詳細に記載しましょう(見本参照)。
  • 預貯金は金融機関の支店名、預金の種類や口座番号まで記載しましょう(見本参照)。
  • 株式は「◯◯◯株式会社の株式◯◯株」というように書きます。
  • 数字は「1、2、3」「一、二、三」「壱、弐、参」のどれも使っていいのですが、変造のおそれがある場合は「壱、弐、参」がいいかもしれません。
⑤遺言執行者の指定は?

遺言の執行(遺言の内容を実現することをいう)が必要な場合には、遺言執行者を決めておきます。執行者を定めるかどうかは任意です。認知や相続人の排除が含まれる場合や、相続人の間で利害関係が表面化しそうな場合は、遺言執行者を決めておくのが無難です。

⑥自分の思いを家族に伝える付言事項。

遺言中に、遺言事項以外の事柄について、遺言者の意思の表明がなされることがあります。法律上の効力はありませんが、遺言者の最終の意思表示として、相続人や関係者がこれを尊重することにはなんら差支えはありません。
付言事項の例としては、どうしてこのような遺言をしたのかなどの動機の説明、自分が亡き後の家族のあり方についての希望などがあります。

⑦日付がないと無効に。

日付は年月日を書きます。必ず日にちまで書くこと。西暦でも元号でもOK。

⑧署名・押印する。

押印は実印でなくても認印でもかまいません。
※用紙が複数枚におよぶ時は、閉じるか契印(割印)をします。

その他の注意点…遺言書を修正したい場合は。

できあがった遺言書を修正したいときは、次のような様式に沿っておこないます。
言葉の追加なら、その箇所に吹き出しの印をつけ、文言を書き加えます。削除したいときは、原文が判読できるように二本線を引きます。訂正するときは、削除と同様に二本線を入れ、その横に変更の文言を書き添えます。
そして、加入・削除・訂正した横に、遺言書に押印したものと同じ印を押します。
さらに、変更箇所の上部欄外に「本行◯字削除◯字加入」などと書き加え、その横に遺言者が署名します。
この方法を誤ると、遺言全体が無効になってしまうことがあります。それだけに、内容を変更したいときは、面倒でも全部を書き直すほうが賢明です。

自筆証書遺言書は封筒に入れて封印する。


封印封筒の見本と注意点

法的には規定はありませんが改ざんのリスクを避けるために自筆証書遺言書は封筒に封印して保存しましょう。確実に遺族が発見できるような場所や貸金庫などの安全な場所に保管するのがいいでしょう。
自筆証書遺言書の場合は遺言者が亡くなった後、保管者または発見した相続人が遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その検認を請求しなければなりません。封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人等の立会いの上、開封することになっています。もし封印された封筒を開封してしまっても遺言書が無効となるわけではありません。そのまま裁判所に提出して検認の請求をしてください。

《実践編2》

公正証書遺言のつくり方

「遺言なら公正証書遺言」といわれる理由は!

遺言書を書くなら公正証書にしたほうがよい、とは一般的によくいわれること。これには理由があります。公正証書遺言書は原本と写しである正本、謄本の3通が作成され、正本と謄本が遺言者に渡され、原本は公証役場に保管されます。それだけに、遺言者に渡されたものが紛失したり、家事や火災にあっても、遺言が無効になることはないからです。また、公正証書遺言は、遺言者から直接公証人(裁判官や検察官等の経験者)が遺言の内容を聞き取り書面に作成するやり方でから、法律上のミスもチェックしてくれ、内容の不備によって遺言が無効になることや、偽造のおそれもありません。
※原本は公証人役場で原則20年(通常は本人の死亡まで)保管されますので遺言書の所在が不明になることもありません。

公正証書遺言の作成手順を具体的に紹介!


公正証書遺言書の見本

公正証書遺言の作成には、自分で直接、公証役場に出向いて相談・委託をする場合と、専門家(弁護士・司法書士)などに相談する場合があります。専門家に相談する場合は相談料がかかりますが、煩雑な手続きを任せたり、よりよいアドバイスを受けることができます。ここでは専門家に相談した場合の手順を紹介します。

①第一歩…専門家にアドバイスを受ける。

専門家に、◯相続人の状況 ◯財産の内容 ◯遺言書作成の目的 などを説明し、課題点などのアドバイスを受けます。

②書類と財産内容の確認

公正証書の作成に必要な書類を用意します。また、証人になってくれる人を2人探します(公証人に紹介してもらうこともできる)。書類や証人がそろったら、専門家に確認してもらいます。あわせて、財産の確認と評価をし、相続税の申告が必要かなどの判断をしてもらいます。


公正証書作成に必要な書類

証人は誰に依頼すればいいの?

遺言者は2人以上の証人を選ぶ必要があります。ただし、◯未成年者◯禁治産者および準禁治産者◯推定相続人(相続人になると予定される者)、受遺者(遺言で財産を贈られる者)◯推定相続人と受遺者の配偶者および直系血族 などは証人にはなれません。証人には親しい友人や弁護士にお願いするのがいいでしょう。証人に適当な人がいない場合、前もって公証役場に「証人を紹介してほしい」と申し出ておけば、当日、証人(1人につき8,000円)を派遣してくれます。

③遺言したい内容を整理し原案をつくる。

相続財産リストを作成し、相続税の問題、各相続人の遺留分、事業承継問題などの事情を考慮しながら原案を作成します。

④専門家が公証人と事前に打ち合わせる。

専門家が原案をもとに公証役場の公証人と打ち合わせをします。公証人は、原案や書類を確認しながら、公正証書遺言の原稿を作成します。

⑤原稿を確定する。

公証人が作成した公正証書遺言の原稿を、郵送またはFAXなどで送ってもらい、本人が内容を確認します。内容の訂正や変更がなければ、その内容で用意されます。

⑥公正証書の作成日時・場所を確定する。

公証人や証人と打ち合わせて、公正証書遺言の作成日時を決めます。
健康上の理由等により公証人役場まで出向けない場合は、直轄の公証人に出張を依頼することもできます。ただし、日当や交通費などの費用が別途必要です。

⑦公証人の前で遺言する。

当日、遺言者は、証人と公証人の前で遺言を口述します(一般的には、事前の打ち合わせの際に伝えておいた内容をもとに、公証人があらかじめ遺言書を記述しておいてくれることが多いようです)。
公証人が作成した公正証書遺言書の内容を読み上げ、最終的に本人意思確認をします。その内容が正確なことを確認した上で、遺言者と証人がそれぞれ署名・押印します。最後に、公証人が署名・押印して、遺言書が完成します。

⑧費用を支払う。

公正証書遺言の作成費用は、遺言作成の終了時、現金で支払います。作成費用(手数料)は法で定められています。その手数料は相続人や受遺者が遺言者から受け取る財産額や人数によって変わります。
※専門家に作成の依頼をする場合は、これとは別に専門家に対して作成費用が生じます。


公正証書遺言書作成の費用

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