- 離婚による家の名義変更手続きは離婚届けの提出前か後、どちらにした方がいいですか?
- 妻と離婚しましたが、家の名義変更をほったらかしにしていました。離婚してから2年が経つと財産分与ができないといわれましたが、どうすればいいでしょうか?
- 離婚をしました。住宅ローンの支払いは終わってますが、妻である私が住み続けるので、家の名義を妻である自分に変えたいです。どのようにすればいいですか?
- 夫婦共同名義の家を離婚するので、売却しようと考えています。住宅ローンが残っているのですが、売却はできますか?
- 公正証書で離婚財産分与協議書を作成した場合の不動産の名義変更について
- 離婚した元夫(妻)との間の子供の相続はどうなりますか?
離婚によりこのような財産分与の手続きが必要な方へ
目次:
財産分与のQ&A
離婚により財産分与とは
離婚による財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を離婚の際に二人で分けあうことをいいます。妻が専業主婦だったとしても、夫は仕事を、妻は家事を頑張ることによって夫婦の財産を築いたと考えるので、基本的には半分ずつとなります。
■財産分与の対象となる財産は以下の通りです。
不動産(土地・建物)、現金、預貯金、自動車、有価証券、生命保険、学資保険、有価証券、退職金、年金
■逆に、対象とならない財産は以下の通りです。
婚姻前から所有していた財産、婚姻後に父母から贈与・相続した財産
夫婦二人の話し合いで離婚をすることを、協議離婚といいますが、この場合には、財産分与も夫婦二人の話し合いで決めていくことになります。財産分与で決めなければならないことは、親権や養育費、慰謝料や年金分割など重要な決めごとが多岐にわたります。その中でも家の名義については今後の生活にも関わってくる重要な取り決めの一つです。
例えば、夫名義のマンションについて、夫が引っ越して、妻と子供が残って暮らし続ける場合、妻へ名義変更をしておかないと後々問題となる可能性が非常に高くなります。具体的には、離婚された後に元夫が再婚し、その後に元夫が亡くなった場合、元妻には相続権がありません。再婚相手が元夫の相続人となりますので、賃料を要求されたり立ち退きを要求されたりする可能性があります。
また、財産分与で名義変更をする場合には、元夫の協力が必要となります。長年ほったらかしにしていた名義を、いざ変えようとしても元夫が協力してくれない場合もありますし、そもそも連絡がとれない場合もあります。また財産分与について裁判所に訴えようとしても、離婚から2年経過すると裁判所は訴えを受理してくれませんのでご注意ください。
離婚したとき家は「売る?」「そのまま住み続ける?」どうしたら?
厚生労働省の発表によると、日本の離婚率(婚姻件数に対する離婚数の割合)は、35%を超えており、3組に1組が離婚すると言われています。
離婚をすることになった場合に問題となるのが「財産分与」です。財産にはいろいろありますが、不動産は預貯金や株券と違って簡単に分けることが難しく、住宅ローンを組んでいるとなると、権利関係や評価などが複雑となってきます。
この数字からすると、まるで街ゆく人の3組に1組が離婚するかのように見えますが、これは調査した年に結婚した件数であるのに対し、離婚数は過去に結婚した全ての夫婦が調査年に離婚した件数となります。そのため、年間を総計で割っていることから、正確に3組に1組が離婚しているとは言えないかも知れません。
財産分与による家の名義変更の手続き例
家の名義については以下のようなケースが多いのではないでしょうか。
- 夫の名義になっている
- 夫婦共有名義になっている
- 妻の名義になっている
(1)、(3)のケースで、名義人となっている方が離婚後も住み続ける場合には、問題ありませんが、(2)のケース又は、(1)(3)のケースでも名義人が引っ越しして、名義人ではない方が住み続ける場合には、名義変更を検討する必要があります。
財産分与で不動産の名義変更をする法律上の要件は離婚届けを提出するということと、夫婦で協議が整っていることの2つとなります。また名義変更は、夫婦共同で申請しなければなりませんので、夫婦が協力しておこなう必要があります。片方が協力してくれない場合には、裁判所に訴えることになります。ただし、この裁判所への訴えは離婚届けを提出してから2年を経過すると裁判所で扱ってもらえなくなるので、注意が必要です。
離婚することは大変なエネルギーを使いますので、とにかく早く離婚したいと離婚届けを提出されて、不動産の名義変更手続きは後回しになりがちですが、後になって早くやっておけばよかったとならないように早めに専門家に相談しましょう。
夫婦双方の協力が得られるのであれば、必要書類を集めて、必要な書類に署名押印し、法務局へ申請をすれば問題なく名義変更をすることができます。
慰謝料として、財産分与として名義変更したい場合
財産分与手続きの流れ
不動産の名義を変更することに、お互いの話し合いができている場合には、ご連絡頂ければ下記のような流れで手続は完了いたします。
手続は約一カ月もあれば完了しますが、事案により異なりますので、その際にはご説明させて頂きます。
共有で持っている場合の名義変更
不動産の名義がどちらかの単独の名義であればいいのですが、そうではなく、夫婦の共有も名義で所有していた場合については、どのようになるのでしょうか。
夫婦の名義が、必ず2分の1づつであるということはなく、7対3であるなど、持分の割合は夫婦間の諸事情によります。
夫婦の財産分与がこの不動産の持分の割合によると思われる方もいますが、これは間違いです。財産分与の割合は、財産形成などの寄与度によって決定されることが多く、特別な事情がない場合には2分の1づつとするケースが多くなります。つまり、不動産の持分の割合ではなく、実際の判断となります。
とはいうものの、お互いの話し合いで持分を相手方に変更することで合意ができているのであれば、あとは持分の名義を変更するだけですので、上記で述べた手続きに沿って進めていけば大丈夫です。
住宅ローンが残っている(ローンを相手が支払っている)場合の家の名義変更
離婚の際に、よく問題になるのが、名義変更をしようと思っている不動産に住宅ローンが残っている場合です。この場合には、名義変更をしようと思うと夫婦だけでなく、金融機関も関わってきます。
いくつかにパターン分けして考えてみます。
- 不動産は夫名義で、離婚後も夫が住み続ける場合
夫名義なので、住宅ローンも夫の名義で借りていることになります。この場合は、特に問題となることは少ないです。名義を変更することもありませんし、夫がこれまで通り、住宅ローンの返済をしていけば、離婚前と変わることは特にありません。ただし、この場合に妻が、住宅ローンの連帯保証人になっている場合があります。そうすると、万一夫が住宅ローンを支払えなくなった場合、離婚した元妻に請求がきてしまうことになります。連帯保証債務は離婚したからといって、関係なくなるわけではないのです。連帯保証債務を無くすには金融機関にお願いして、連帯保証人からはずしてもらう必要があります。離婚したからといって連帯保証人を必ずはずしてくれるわけではありませんので、はずしてもらえない場合には、代わりの連帯保証人を探したり、別の金融機関に借換えを検討する必要があります。
- 不動産は夫名義で、離婚後は妻が住み続ける場合
この場合も、夫名義なので、住宅ローンも夫の名義で借りていることになります。ケースにもよりますが、この場合、離婚後は、実際に居住する元妻が住宅ローンの返済をしていくことが多いのではないでしょうか。その場合、名義変更をする前にまずは、金融機関に相談に行かれることをお勧め致します。離婚をして元妻が住宅ローンを支払っていったとしても返済が滞ってしまった場合、元夫に金融機関から請求がいくことになります。最終的には金融機関が住宅ローンの返済のため競売を実施することになるのですが、競売は一般的に通常価格よりも安い価格で落札されることが多いので、落札した価格で住宅ローンを完済できないことがあります。そうすると残った債務は元夫が返済することになります。そうならないためにも、金融機関に離婚によって名義変更をするので、住宅ローンの債務者も妻に変更してほしい旨を相談する必要があります。ただし、住宅ローンの債務者を変えるには妻の資力(返済能力)について審査をするので、審査が通らず変更できない場合も起こりえます。そうした場合には、別の金融機関に借換えを検討したり、連帯保証人を付けたりする必要があります。また、金融機関の承諾がなくても名義変更をすることは可能ですが、金融機関との契約の中で、金融機関の承諾なしに名義を変更した場合、残債務を一括して請求することができるという内容の条項があることが一般的ですので、承諾なく所有権移転登記を行うのはリスクがあるといえます。
- 不動産は共有名義で、住宅ローンの債務者も二人
この場合は、どちらが住み続けるにしても(2)と同じ問題が発生します。連帯債務で借りているなら連帯債務を抜ける必要があります。ペアローンで借りているなら、その分を返済する、その分について債務者を変更するなどの手続きが必要となります。どちらにしても金融機関との調整が必要になってきます。
相手が非協力的、相手と連絡がとれない場合
当事者通しでは感情的になったり、法的な知識もあまりないことから、話し合いがまとまらないケースも多くあり、そのうち相手方が手続きに非協力的になり、あるいは音信不通になったりといったケースも出てきてしまいます。
そうした場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士が介入するとすぐに裁判になってしまうなど物事が大きくなるようにも思われますが、そのまま問題を解決することなく放っておくことの方が、問題が大きくなってしまいます。裁判だけが手続きではなく、弁護士を通じて相手方と話をすることで、逆に感情的にもならずにスムーズに事が進むことの方が多くあります。
なにごとも放置せずにその時に解決してしまうことが、一番大事なことです。
離婚に伴い、マイホームを処分する場合(任意売却)
離婚することが決まり、夫婦それぞれが実家に帰るなど、今まで住んでいた家を売却するということもあるでしょう。
この場合に、住宅ローンがついていなければ、売却して売れたお金を夫婦で話し合って分けるということもできます。これに対して住宅ローンがついている場合には、次の二つのパターンが考えられます。
- 売却して、売れたお金で住宅ローンをすべて返済できた。
この場合、住宅ローンがついていない場合と同じように、あとは残ったお金を夫婦で、協議してわければいいだけなので、そこまで問題になりません。
- 売却して、売れたお金で住宅ローンをすべて返済できない。
これは、不動産の価値よりも、住宅ローンの残額の方が高いいわゆるオーバーローンの状態になっています。売買代金と手持ち資金から残額分を加えて返済ができれば問題ないですが、それができない場合、そもそも売却することができません。その場合は、夫婦どちらかが住み続けて、住宅ローンの返済を続けるか、任意売却の手続きを検討することになります
任意売却とは、競売に対する言葉で、裁判所を挟まずに売却する、売買のことをいいます。よって普通に家を売った、買ったという売買も広い意味では任意売却となります。ただし、一般的には、上記のようにオーバーローンになっている不動産の売却のことを特に任意売却といいます。
この任意売却は、金融機関が承諾してくれなければ売ることができません。よって、通常の売却よりも、より任意売却に関する専門的な知識が必要となりますので、家を処分したいが、住宅ローンが残ってしまってお悩みの方はご相談ください。
税金はどのようなことが関係してくるの?
財産分与による税金について
贈与税
原則かかりません。ただし、以下の場合には贈与税がかかる可能性があります。
- 分与された財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の価額やその他すべての事情を考慮しても、なお多すぎる場合
- 離婚が、贈与税や相続税を不当に免れるために行われたと認められる場合
譲渡所得税
原則かかります。「財産分与のときの不動産の時価」が「不動産取得時の時価(建物については減価償却後の価額)」よりも値上がりしていれば、その差額(=譲渡益)に対して、財産分与をした方に譲渡所得税がかかります。しかし、下記の特例もあり、実際にはかからない場合も多いです。
- 譲渡所得が発生していなければ、課税はされません。
- 居住用不動産の場合は3000万円の特別控除があります。
不動産取得税
原則かかりません。ただし、贈与税と同じく以下の場合には不動産取得税がかかります。
- 分与された財産の額が、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の価額やその他すべての事情を考慮しても、なお多すぎる場合
- 離婚が、贈与税や相続税を不当に免れるために行われたと認められる場合
登録免許税
必ずかかります。登録免許税は登記名義を変更する際に納める税金なので、財産分与で名義を変更する場合には必ず納めることになります。
離婚による財産分与を司法書士に依頼するメリット
財産分与を行うのに、資格というものは必要ありませんが、そこにはやはり長年培ってきたノウハウが必要となってきます。そうでない事務所に依頼してしまうと、せっかく依頼していただいても満足して頂ける結果に至らないことになってしまいます。
「ひかり司法書士法人」は財産分与に特化した士業の専門家集団です。一つの士業が窓口となって提携の税理士などに外注するのとは異なり、すべて幣グループの士業が対応いたしますのでご安心ください。
ひかり司法書士法人は士業によるプロ集団”ひかりアドバイザーグループ”に所属しています。司法書士をはじめ税理士、行政書士、社会保険労務士、会計士と士業のプロが集まっています。
また、話がまとまらず、どうしていいかわからない場合であっても、幣グループの顧問の弁護士が対応いたしますので、お気軽にご相談ください。
財産分与の手続き費用
財産分与による不動産の名義変更にかかる費用について明瞭でわかりやすい料金体系を目指しています。
少しでもご不明な点がございましたら遠慮なくお問い合わせください。
サービス内容 | 料金 | 実費(登録免許税) |
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不動産の名義変更 財産分与協議書作成 |
8万8千円 | 固定資産税評価額の2% |
上記の料金は、HPからご依頼頂いた方のみになります。案件が複雑な場合、申請件数が分かれる、他管轄の場合は別途費用が必要となります。
その場合は、ご依頼頂く前に見積書を提示させて頂きますので、そちらをご確認いただいてから、ご依頼頂くかどうかを決めて頂ければかまいません。
例えば以下のような場合には別途費用がかかります。
- こちらからお伺いする必要がある場合、場所に応じた出張料を頂戴します
- 登記事項証明書に記載されている住所・氏名が現在の住所と異なる場合
- 別の法務局管轄に属する不動産の名義変更も必要な場合(申請件数が増える場合)
- 財産分与協議書に慰謝料、子供の親権、年金分割など不動産以外の条項を記載する必要がある方
ひかり司法書士法人 司法書士の安田篤史です。
一体何を相談していいのわからない、解決したい問題があるけれど、誰に相談していいのかわからない。そんな方は一度、私たち司法書士へご相談ください。
ひかりアドバイザーグループのメンバーとして税理士、行政書士など、他士業の専門家とともにワンストップサービスを目指しております。その他、弁護士、土地家屋調査士や不動産鑑定士などの専門家とも連携して業務を行います。
士業同士の業務の境目は曖昧なもので、一般の方からみれば誰に頼めばいいのかわからないということが多々あるかとおもいます。
当事務所へご相談にお越しいただくことで不安や問題解決の糸口になれればと考えております。みなさまのお役にたてる、そんな司法書士を目指して、より良いサービスの提供ができるように日々精進してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
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