相談者様(Aさん)は、末期のガンと診断され、余命1年と宣告されました。
相談者様には、妻と未成年の子がいます。
相談者様が亡くなった後、子の親権は妻となりますが、妻はあまり働いたこともなく、衝動買いなど浪費が激しいこともあるので、妻だけに相談者の遺産をすべて相続させるのは心配だと考えていました。そこで、相談者様の亡き後は、相談者様の母親に子の養育をお願いしたいと思っています。
問題点
相談者様が亡くなった後は、妻と子どもで相談者の遺産を相続することになるが、妻が子どもの親権者となるため、子どものために遺したお金まで浪費してしまわないか心配。
仮に、相談者が全財産を子どもに相続させる旨の遺言書を遺したとしても、未成年の子どもの財産を管理するのは妻であり、妻に浪費されてしまう恐れがあります。
家族信託の活用で解決
委託者 | 相談者様(Aさん) |
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受託者 | (Aさん)の母親 |
受益者 | 子 |
信託監督人 | 弁護士 |
本件においては、委託者を相談者様とし、受託者を相談者様の母親、受益者を子として、相談者様の亡き後は、子の養育支援に使うことを目的として家族信託を設定します。
そうすることによって、相談者の遺産を妻に浪費されるおそれがなくなります。
しかし、全財産を養育のための信託財産として設定してしまうと、妻に遺留分を主張される恐れがありますので、養育目的以外の財産があるのであれば、その分については、遺言書で妻に相続させるのもひとつです。
また、相談者様は若くして亡くなったため、まだ母親が元気ですが、母親の判断能力が低下して、子の信託財産の管理に支障が生じないように、母親の次の受託者として、相談者様の兄をあらかじめ指定しておくと、安心です。
さらに母親や兄による財産管理に不安がある場合は、弁護士などの専門家を信託監督人に選任しておきます。信託監督人とは一言で言うと受託者の「見張り役」です。受益者である子どものために信託が適切に行われているか受託者を監督します。